ふたりきりのアトリエはとても静かで、ちょっとした物音でも大きく響くように感じられた。
否、神経が昂ぶっているせいで聴覚が過敏になっているのかもしれない。
敏感になっているのは聴覚だけではなかった。
全身の膚が、すこしふれられただけで過剰に反応してしまうほど過敏になっていた。
肩にかかっているだけの状態になっている衣服がほんの少し膚にふれただけで小さく悲鳴を上げてしまう。
悲鳴は外に聞こえてしまうのではないかと思うくらい、耳に響く。
びくりと体をふるわせると、また衣服が膚をかすめ、長い髪が膚を撫でる。
小刻みにふるえながら汗のにじむ手で目の前の男に縋り付く。
意地悪な彼は左手に持った氷で胸をそっとなぞる。

熱く火照った体に冷たすぎる感触。
溶けて皮膚の上を滑る水の感触に、達しそうになるほど感じた。

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息も絶え絶えの状態なのに、彼は顔を近づけてきて、唇に挟んだ氷を口うつしてきた。
唇を塞がれて酸欠状態が悪化する。
赤く熟れた舌と唇に乗った氷は頼りなく、いまにも落ちてしまいそうだった。
彼の左手はなおも氷で胸をもてあそぶ。
胸の赤い突起にはあえてふれず、なめらかな白い膚を何度も滑らせる。
体の温度で氷はどんどん溶けていく。
水筋が胸をつたって下半身へ流れつくたびに全身がふるえた。
氷が彼の左手の中で溶け消え、彼は新しい氷を手に取る。
大きくて、まだ角のある氷が右胸の突起に、わざと角でえぐるように、ふれる。
唇から氷が勢い良く落ちた。
鋭い音を立てて、氷はアトリエの床を叩いたが、その音は大きな悲鳴に掻き消された。
溶けた氷の水分とも唾液ともつかない透明の液体がふるえる唇から滴る。
縋り付く手の、指が、彼に食い込んでいく。
ぎりりと彼の衣服を握りしめて、どうしようもない感覚をやり過ごす。
からだじゅうの血液が、胸の突起と下半身に集中していくかのようだ。
視界はぼやけてひどくあいまいで、思考もままならない。
頭がぐるぐると回っているような、酩酊しているような感覚だった。
胸で遊ぶことにやっと満足したのか、彼はやさしい手つきで、縋りつく手を剥がしていく。
壁に手を誘導して手をつかせ、背後に回る。
肩にかかっていた衣服を下される。
やっと欲しかったものを与えられるのかと期待するが、彼はそんなに素直な性格ではなかった。
彼は右手に氷を取って、突き出した双丘の間に氷を滑らせる。
ぞくぞくとした感触が尾てい骨から頭までを一気に貫く。
高い悲鳴を上げながら、必死に壁に手をついているしかない。
左手の氷は今度は左の胸の突起にあてがわれる。
まだ一度もふれてもらえていない部分が、ふれてほしい、刺激してほしいと懇願するように、そそり立つ。
先走りが垂れて、さっき胸を伝って落ちてきた氷の水分と同化する。
双丘の間に氷を滑らせていた彼の右手が、小さな窄まりに氷をあてがって、止まった。
次に何をされるのか、予想が、ついた。
やめてくれと言おうとしたが、言葉は音にすらならなかった。
硬い氷が狭いそこをこじ開ける。
強引にねじ込まれる。
ひどく熱く熟れた粘膜に、氷の温度はあまりにも冷たく、痛いほどだった。

氷プレイ

外と内から氷で冷やされた体は、体温を奪われ、凍えていく。
さっきまでさんざん遊ばれていた右の胸の突起と下半身の昂りだけがひどく熱い。
寒さからか、膚を伝う水の感触に感じたからか、やわらかな膚に鳥肌が浮かぶ。
彼の左手の氷が、溶けきって膚を流れ落ちる。
つめたい手が熱くなりすぎた昂りを包み込んで、ぎゅっと握り込んだ。
「あぁっ……!」
ひときわ高い嬌声が部屋に響く。
もう、壁に手をついてなんていられなかった。
背後の彼へ、向き直り、壁から離した両手で、性急な手つきで彼の衣服をほどいた。
欲しかったものは、彼の下着の中で窮屈そうにはりつめていた。
氷で冷やされた箇所に、それをあてがうと、燃えるように熱く感じた。
熱い吐息を漏らしながらふるえる輝に、やっと、楽は口付けた。
焦らしずぎだ……唇と唇の間で、そっとささやいた。